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「ふぅ、終わった」
時計に目をやればもう9時半過ぎ。
とっくに忘年会は終わって、二次会へ突入してるだろう時間。
「ま、こんなもんよね」
上々でしょ。
デスクの上を片付けながら、ふいにサンタクロースの格好をした客引きの姿を思い出した。
サンタクロース…か。
窓際に寄り、下を眺めるとサンタクロースの格好をした人がチラホラと見える。
「良い子にしてれば…プレゼントくれるんだよね。なら、私にも…何かくれても良いんじゃない?」
そんなのは有り得ないと分かり切っていても、つい言いたくなってしまう。
独り言が虚しく響くだけなのは重々承知だが、つい口から出てしまった。
こんな事を人に聞かれでもしたら痛い奴間違い無しだ。
「何か欲しいモノでも有るのか?」
「っ!?」
誰も居ないだろうと思っていたフロアに男の声が響いて。
思わず鞄を落としそうになった。
まさか…今の…
聞かれてた?
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