253人が本棚に入れています
本棚に追加
「さぁ、何でだと思う?」
腕組みをし、私を試すかの様に見据えるその瞳に…
耐え切れずに逸らしてしまう。
「何かトラブルでもあったんですか?」
手にしたブラック珈琲を握り直しながらも何故か落ち着かない。
「まぁ、そんな所だ」
「え?大丈夫なんですか?」
「んー…どうかな」
トラブルだと言う割には落ち着いていて、焦っている様には全く見えなかった。
「仕事片付いたのか?」
「はい、先程終わりました」
「そうか。泉はしっかりしてるからな」
涼しげな顔に優しく微笑まれ、褒められたのだけれど…
『しっかりしてる』その言葉はあまり嬉しくなかった。
全然しっかりなんてしていない。
だから現にこうして1人で残る羽目になってたのだから。
部長に仕事を認めて貰えるのが嬉しくて。
それで頑張ってこれたのもあるのに。
こんな情けない所を見られたくは無かったかな。
最初のコメントを投稿しよう!