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バットを失ったモブ②がスライディングをするが、勢いが足らず、私にその足が届く前に、ズズズ・・・・・と、止まる。
「・・・・・あれ?」
こんなはずじゃなかった、みたいな顔をしているモブ②の脛を思いっきり踏みつける。
かつ、私より小柄なので、お手を拝借。
「へ?」
モブ②の肘を握って立たせる。後ろを向かせてTシャツの襟首を後ろから掴む。
モブ④~⑩は、ぽかん、としてただ見ている。
じゃじゃーん。
「はっはっは!モブ②は我が盾となったのだあああ!」
「ええええええええ!」
モブたちが叫ぶ。
と、同時に。
「のぼりましたあああああっ!」
という声が上方から聞こえた。
モブ②を盾にしつつ上を仰ぎ見ると、例の男の子が三メートル位の高さのフェンスの頂上まで上っていた。
「おう、分かった。んじゃこれ、返すわ。」
モブ②が、モブ軍団の中に倒れこむように、モブ②の背中を蹴り飛ばす。
「うおおっ、大丈夫か、鷹鷲見(たかすみ)いいいい!」
「ぶはっ」
そんなカッコいい名前だったのかコイツ。
笑いながらも、瞬時に身を翻してフェンスに手足をかけ、全速力で上る。
「ほれ、お前ももう降りろよ、グラウンドに。」
「無理。高すぎ。」
「テメェ、あんま面白いこと言ってっと、お前の顔を面白いことにす・・・・」
「サーッセン!」
私がひたすら上り、彼はひたすら降りる。
私が降り始めた時、彼は地面で待っていた。
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