第二話 陽炎の残火

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**** ――キーンコーンカーンコーン。 この鐘が鳴ると安堵するのは、俺も生徒も同じだと思う。 何だかんだ言って授業は、する方も受ける方も疲れるもんだ。 まあ、自分が学生の頃は、自分ばっかたりぃとか思っていたが、体験して初めて分かるセンセイの大変さ。 教科書に文句をつけながらも、ちょっとでも興味を持ってもらえるように工夫する。 『センセイは夏休みに宿題無くて良いよね』 それ、とっても誤解です。 君らが今日使ったプリント、いつ作ったと思ってんの? センセイに夏休みなんかありません。 そういうわけで、 「では、授業は此処までですが、宿題が未提出の人と、テストで30点未満の人は来週、居残り勉強してもらうので、部活などの都合をつけて二日間空けてください」 俺は黒板横にプリントを貼り付け、「ここに予定を書き込んどいて」と、教室を後にした。
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