第二話 陽炎の残火

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**** 週が明けて更に数日の木曜日。 帰りのショートタイムを終えた俺は、一旦職員室に戻った。 木曜日は毎週恒例の職員会議の日だからだ。 居残り勉強は、取り敢えずプリント配ってあるのと、 『逃げた奴は、教科書一冊丸ごと書き写しさせるぞ』 なんて宣言してきたから大丈夫、多分。 それにしても、まさか学年主任のジーサン先生、暑さでふらついて骨折とかひでぇな。 俺は、隣の席の足元をチラと見る。 ギブスでぐるぐる巻の左足。 歳を取ると治りも遅いらしい。 「あ、小林先生座ってて下さい。僕ついでに資料貰ってきますから」 教務主任の説明に、立ち上がりかけた負傷者を制止して自分が立ち上がる。 いや、それくらい普通の事でしょ。 すると、小林先生は目尻に皺を作って「すまないね」と苦笑いを浮かべた。
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