第二話 陽炎の残火

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席に戻り、貰ってきた資料に目を落とした俺は一瞬ギクリとしてしまった。 本日の議題―――― 『クラス対抗の合唱コンクールについて』 『先月発生した教職員の不祥事について』 …………。 音楽担当のおばちゃん先生が、何やら説明し出したが、俺の手元の資料はその裏側。 県立高校の男性教諭(26)が、夏休み中に高校2年の女子生徒と海に旅行し………… 洒落になんねえよ。 我ながら悪趣味だと思うアノ記憶が頭を過り、後頭部がじんわり暑くなった。 冷や汗です。 いや、正直気を付けようと思う流石に。 だって、いや、すいません。 桃食ってる相川に、一ミリくらいはドキッとしたのは事実だったから。 "魔が差す"って、ああいうのがエスカレートするとなるんだろうな。 そりゃ、日本の法律や現在の一般的な倫理からしたら異常かもしれんが―――― 浅井三姉妹のお江は、13歳で佐治家に嫁いでいるわけだし…… って、自分を正当化してどうするよ。 しかも、お江は三度目の結婚で、やっと千姫を産んでるわけだしな。 いかん、いかん。 俺、何を考えているんだ。
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