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心中複雑ではあったが、職員会議もつつがなく終了し、俺はプリントの解答を手に教室に向かって歩いていた。
二階の廊下から見える校庭では、野球部がボールを追いかけている。
暑いのにご苦労なこった。
…………。
つうか、何で俺(28歳)と山城先生(25歳男)だけ釘を刺されて、磯谷先生(27歳女)は何も言われんの?
魔が差すのは男も女も関係ないと思うんだが、何だかんだ言って女は得だよなと思う。
まあ、別に良いんだけどな。
気を付けようと思ったのは事実だし。
俺は小さく息を吐き出し、廊下の角を曲がった。
すると――――
ドンッという衝撃と共に、俺の身体は数歩後ろへよろめく。
何が起きたんだ!?
三歩目で踏み留まった俺は、目の前に尻餅をつく男子学生に声を掛けた。
「おいおい入江、人少ないからって廊下を走るなよ。危ないだろうが」
「……すいません」
立ち上がった入江は、何故か焦っているような様子で、その額に汗の粒が浮かんでいる。
「てかさ、入江お前プリント終わったの?逃げたら教科書……」
「プリントは教卓に出してあるんで、すいません!」
渋い顔を作る俺に、入江はチラと後方――――俺たちの教室の方向を見ると、すぐさま頭を下げて俺の横を通り過ぎた。
なんなんだよ、全く。
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