第二話 陽炎の残火

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机と椅子だけが並ぶ教室。 窓から入ってくる光はまだ明るく、蛍光灯は切れた状態のその部屋。 中央付近の席に座って俯くのは――――逆光になっていてその姿は輪郭しかわかんねぇけど。 「あ……い、かわ?」 啜り泣くこの声は相川のそれだ。 しかも、今日の居残り勉強は入江と相川の二人だけ。 状況考えれば直ぐに分かるわけで、ただ、でも何で泣いてんだ? 俺の声が聞こえたのか、黒い塊がビクリと震える。 「どーしたんだよ、なんか分からん所でもあったか?」 入江がサッサと片付けて帰ったからって、泣くことないじゃんよ、小学生でもあるまいし。
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