第二話 陽炎の残火

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俺は大きく息を吐き出した。 「なぁ……何で泣いてんの?」 机に両腕を乗せて、更にその上に顎を乗せる格好。 低くなる視界で見上げれば、前髪に隠れて見えなかった部分が見える。 見開いた目尻に、しっかり溜まった涙がボロボロ、ボロボロ流れている。 そして、微かに震える睫毛と、キュッと閉じられた唇。 溢れた涙が頬を伝って、 ――――ボタリ。 と、プリントの印字を滲ませた。 …………。 「あーいーかーわー」 「…………」 「だからさあ、泣いてるだけじゃ分かんないのよ」 「…………」 「居残り勉強が泣けるほど嫌だった?」 首を振る相川。 「じゃあ、どっか具合でも悪くなった?」 これも違うらしい。
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