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出された麦茶を飲んで一息つく。
炎天下を自転車で走ってきた身体は、事のほか渇ききっていたようだ。
グラスを置き何となく部屋を眺めれば、外観からも感じていたが、"相川の家"だなと納得できるような様子。
要するに、普通の一軒家。
いや、この暑い時期、時間にエアコン無しで開け放たれた縁側と、風鈴なんぞがチリチリ言うのは、些か昭和的な薫りもしようか?
――うん。うん。分かった、ちょっと待ってね?
ふと見れば、家電の受話器に手を添える相川が此方を向いた。
「センセイ、おかーさん、今職場を出るから、あと30分くらい掛かるんだけど……」
首を傾げる相川。
「ん?ああ、どうせ今日は此処が最後だから、親御さんが問題ないなら待たせてもらうけど?」
そう、相川の母親は介護士をしていて、1年の時に大幅遅刻をされるという事態を経験した俺は、予め順番を考慮していたんだ。
学習能力くらいありますよ俺、大人ですから。
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