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 耳元で風が鳴る。  スピードがぐんぐん上がっていく。  ガタン、と段差で車体が弾み、わたしは小さく悲鳴を上げた。 「─ここから下りだぞ、しっかり掴まってろよっ」  見ると、自転車は崖を切り取って無理矢理作ったような幅の狭い道に突っ込んでいくところだった。  思わず目を閉じ、俊輔の背中に顔を埋める。  車輪の回る音があちこちからめちゃくちゃに跳ね返り、耳元で代わる代わる弾けては消えていく。 「次、右に曲がるぞ、気をつけろ」  俊輔の声に合わせて身構えると、予想していた方向への大きな遠心力を感じ、わたしはさらにきつく俊輔の身体にしがみついた。
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