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 ─拓己を一人で行かせるわけにはいかない。  拓己の目の奥に覗いていた怒りの感情を思い出し、わたしは唇を噛みしめた。  もしかしたら、冷静さを欠いた拓己は、衝動的な行動に走るかもしれない。  このまま放ってはおけない。  こんな時こそ、傍についていなければ。  わたしは走りながら腕時計に目をやった。  まだレースの開始時刻まで充分な時間がある。  拓己が向かっているのはおそらく、─宗方先輩のいる、スタート地点の観音崎だ。
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