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 わたしたちが呆気にとられている間に、拓己は自転車を押し、ドアを強引に押し開けて外に出て行ってしまった。  酒井さんと顔を見合わせ、慌てて後を追う。  庭を駆け抜け、開け放されたままの門扉から飛び出すと、自転車に跨ってお店の駐車場から出て行く拓己の後ろ姿が見えた。 「待って……!」  必死で駐車場を突っ切り、角を曲がったところで、─わたしたちは足を止めた。  ……拓己……。  国道に続く小路は、両側をブロック塀に囲まれている。  その真ん中で、拓己は自転車から降り、ハンドルを握り締めて顔を伏せていた。  傍まで駆け寄り顔を覗き込むと、その額にじっとりと冷や汗が浮かんでいることが分かる。 『拓己のやつ、自転車に乗ろうとすると拒絶反応なのか気分が悪くなるらしくて』 「……くそ……っ」  悔しそうに顔を歪め、拓己は自転車を道の端に寄せ、フェンスに立てかけた。
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