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「俺、お前にいいとこ見せたくて、張り切って誰よりも多くシュート決めまくって。
まあ、俺がFWっていうポジションにつくことになったルーツはそこにあるわけなんだけど」
「……そうなの?」
「そ。そのくらい単純なの。男は」
俊輔は澄まして言った。
「で、いつだったか、たまたま章ちゃんの部屋で四人で遊んでた時にさ。
俺が訊いたんだよ、お前に。
『この中で、サッカー一番うまいの、誰だと思う?』って。
そしたら、『拓己』って即答されてさ。
俺、納得いかなくて。
『なんでだよ、一番シュート決めてんの俺だろ』って言ったら、お前、呑気にお絵かきしながらサラッと言ったんだよ。
『俊輔はがんばり屋さんだけど、そんなに上手ではないよ。
だって拓己がゴールの前にいいパスを出してくれなかったら、シュート打てないでしょ』って。
─俺、撃沈」
「……」
─まったく覚えてない……けど……。
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