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「ごめん……」
「いや。あれはほんと、堪えた。
女の言葉のカミソリパスをまともに受けたら即死だって、あの時学んだ」
「……」
「でもまあ、それより何より俺が一番衝撃を受けたのは、
─拓己が次の日、少年野球チームをやめて来たことだったな」
「……え……」
「あ、こいつバカだ。
俺と同じ単純バカだ、って、その時初めて気付いた。
いつも涼しい顔してるくせに、好きな子の一言であっさりサッカーに転向するとか、……あの時、俺の中の拓己像がガラガラと崩壊したよ」
「……」
「まあ、つまりその瞬間から、俺たちのライバル関係は始まったわけだ。
今思えば、ほんとガキだったなあと思うけど、……めちゃめちゃ、楽しかったよな」
俊輔は、懐かしむような目で夜空を見上げた。
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