第1話雑種。

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出された手を満足げに掴んで立てと引っ張る。 「俺がご主人様。チビはペット。っても今まで飼ったことないからなぁ~。」 手の上のそれをにぎにぎすればいいカンジに馴染んで心地良い。相性はなかなかってトコか?それをじっと見たまま、多分次に何言い出すんだろ?ってビビってるっぽい。手をひっくり返して手のひらの真ん中辺り、爪先で円描くように彷徨わせればくすぐったいのかちょっと力入れて引っ張りやがった。ホント、バカは嫌んなる!ムカついたからそのまま手握って行くぞ、って屋上出た。 「まずは~、お披露目?お散歩デビューしよっか」 俺に引っ張られるままのチビに言えば相変わらず返事はない。無駄吠えは…、ナシっと。これは結構なことだ。まだ授業中の教室に戻れば皆の好奇の目、ドアんとこで足がすくんで動かないチビに行けって背中押して慌てて席に座ったの見て俺も座る。先生の心配に俺が適当に言い訳して、それを皆が何で?ってヒソヒソ噂して…。横のチビは机ギリギリまで俯いてて…。全部が可笑しくてーーー、いや、何だ?気分がいいっていうかスッとしたっていうか…。さっきのモヤモヤが消えてた。 …てか、腹減った。
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