第1話雑種。

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名前よく分かんない女子の耳元でコソコソ話せば真っ赤な顔してウンウン頷いて席譲ってくれた。その間ずっとチビが俯いて口元も握った手もギュって堅く強張ってて。女子が俺の引いた5番に机を移動させるのをただじっと見て、新しい席に座った。 「まーた、お隣同士仲良くしようねぇ?」 コクリ、頷いただけ。はぁ?さっきのと対応違くねぇ?失礼なのは存在だけにしてよ。ギリギリ奥歯噛んで怒りを抑えてると俺の席になるはずだった辺りからブーイング。適当にそれを流してチビを見ればこっち遮るようにグラウンド眺めてた。マジムカつく!!だからちょっと強く机蹴ったらビクッってなって視線を机に落とした。ザマぁみろ。 それから毎日ちょっかい出して困らせて、俺の毎日は充実していた。今日だって朝からギリギリに教室に入ったチビの机の上には100均で買ったウサ耳が置いてある。昨日帰りに見つけて即買いした。一緒にいた女子がそういうのも嫌いじゃないと上目使いで擦り寄ってきたのは正直萎えた。そんな気疲れまでして買ったウサ耳をだ!凝視してからため息一つ、窓のカーテンの後ろ。先生に気付かれない程度にコッソリ立て掛けた。
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