ある男子高校生の憂鬱

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「まあ、似てないな」 「だろ?亜優はそんなに――」 「亜優のがダンゼン可愛い」 「……」  ――は?  俺は言葉を失った。 「なあ、拓己」  体をねじって俊輔が声をかけると、CDの歌詞カードを眺めていた拓己が「ん?」と顔を上げる。 「こいつだよ、田村が言ってた元モデル。 ほら、亜優に似てるって熱弁ふるってたじゃん」 「……ああ」  拓己は身を乗り出し、水着の写真をじっと見つめ、 「似てない」  とあっさり却下した。 「だよな。亜優のが可愛いよな」 「まあ、圧勝だろ」  俺はぎょっと目をむいて、 「ちょっ、……ちょっと待てお前ら。 ――それ、本気で言ってんの」  2人はきょとんと顔を見あわせてから、 「本気だけど」  拓己が真顔で言い、 「え、だって実際、亜優のが可愛くね?」  俊輔も素で目をぱちくりしている。 「……」
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