第1話

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庭の泥が足に跳ねたのか、サーシャの足元は泥まみれだ。 「シャワーでも浴びてきてください。このままじゃ風邪をひきますよ」 「いや、平気だよ。ただ昨日の事が気になって、それを聞きにきた野次馬だからさ」 サーシャは豪快に笑ってそう言った。 「まさか、また何か聞かれたんですか?」 「いんや…聞かれたってほどの事じゃないさね。今度はあんたの事を調べてるようだったから気になったのさ」 「僕の事…ですか?」 想像もしていなかった話にダーヴィンは目を丸くした。 そこにタオルを持ったルシアが現れた。 「サーシャ、お風呂を使ってください。もうお湯を入れてきましたから、その間に洋服を洗濯して暖炉で乾かしておきますね」 あまりにも手際よく準備をされてしまったので、さすがにサーシャは断わる事ができなかった。 「なんだか悪いね」 突然やってきて風呂まで借りるとは情けないと思ったのか、サーシャは眉を下げて萎縮している。 「いいんです!その間に作りすぎた朝食の準備もしておきますし。今日はお店も休みでしょう?二人で食べるより三人で食べた方が美味しいもの!」 完全にルシアのペースになっていた。 朝食など作りすぎてはいないが、そうでも言わなければサーシャが遠慮してしまうと思ってとっさに出た言葉だ。 それに、そんなに嬉しそうに言われている時点でサーシャが断われるはずもない。
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