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庭の泥が足に跳ねたのか、サーシャの足元は泥まみれだ。
「シャワーでも浴びてきてください。このままじゃ風邪をひきますよ」
「いや、平気だよ。ただ昨日の事が気になって、それを聞きにきた野次馬だからさ」
サーシャは豪快に笑ってそう言った。
「まさか、また何か聞かれたんですか?」
「いんや…聞かれたってほどの事じゃないさね。今度はあんたの事を調べてるようだったから気になったのさ」
「僕の事…ですか?」
想像もしていなかった話にダーヴィンは目を丸くした。
そこにタオルを持ったルシアが現れた。
「サーシャ、お風呂を使ってください。もうお湯を入れてきましたから、その間に洋服を洗濯して暖炉で乾かしておきますね」
あまりにも手際よく準備をされてしまったので、さすがにサーシャは断わる事ができなかった。
「なんだか悪いね」
突然やってきて風呂まで借りるとは情けないと思ったのか、サーシャは眉を下げて萎縮している。
「いいんです!その間に作りすぎた朝食の準備もしておきますし。今日はお店も休みでしょう?二人で食べるより三人で食べた方が美味しいもの!」
完全にルシアのペースになっていた。
朝食など作りすぎてはいないが、そうでも言わなければサーシャが遠慮してしまうと思ってとっさに出た言葉だ。
それに、そんなに嬉しそうに言われている時点でサーシャが断われるはずもない。
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