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「あぁ、せっかく来ていただいたのにすみません。そろそろ仕事が…」
ダーヴィンはわざとらしく時計を見た。
「仕事って…こんな時間からですの?」
義母は、まるで離れる事が寂しいとでも言わんばかりの口ぶりだ。
「えぇ、ルーファス王子…いや、もぅ国王になられましたね。ルーファス国王の検査などをしないといけませんから」
ダーヴィンは、あえてあの男、ルーファスの名前を口にした。
そうする事で、自分が国に仕える仕事をしているという事を義母の頭に刷り込んだのだ。
自分は国の仕事をしている、だから自分に逆らう事は許されない。
そう思い込ませるしかできないのは弱い人間のする事だ。
自分には後ろ盾がいるなんて考えは、自分一人では何もできないが何か危害を加えようものならば報復が待っているぞと言っているようなもの。
ただ、この圧倒的財力と国の後ろ盾があれば裁判などをしてもお前達は負けるんだという事をわからせておきたかった。
そうしなければ今後も面倒な事が起きるかもしれないという不安を取り除くために。
医者だという事は知っていたが、まさか王族の健康管理を任されるほどの地位があるとは思っていなかった義母は、その言葉に生唾を飲み込んだ。
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