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「そうですか。それならば仕方ありませんわね…。お忙しいところ連絡もせずに伺ってすみませんでした」
もう少しダーヴィンと一緒にいたかった義母は、国の仕事と言われては仕方ないといった感じで名残惜しそうに上目遣いでダーヴィンの顔を覗き込む。
「いえ、僕もいつかお会いしたいと思っていたので…今日は何のお構いもできず申し訳ないです。次はルシアも一緒に連れてきてあげてください」
ダーヴィンはニコリと笑った。
ルシアを連れてこないのならば家に入れる事はない、そうも受け取れる言葉であった。
義母は気まずそうに笑って家を出ていった。
義母がトボトボと坂を下っていく様子を窓際で眺めてから、ダーヴィンは屋根裏部屋へと足を向けた。
「ルシ、帰ったよ」
ダーヴィンの声に反応したルシアがおそるおそる顔を出す。
「…何の用事だったの?」
「さぁ…、僕はルシがうちに来ていないかの確認だったんじゃないかと思うけどね」
ダーヴィンがそう言うと、少し考えてから
「そうね…それしか考えられないもの」
と、ルシアは顔を曇らせた。
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