14人が本棚に入れています
本棚に追加
「ところでルシ…今後の計画のために聞いておきたいんだけど」
階段を下りながらダーヴィンはルシアに問い掛けた。
この街で、サーシャ以外に深く関わった人間がいるのか、それが気がかりだったのだ。
サーシャと関わっていた事すら今日の今日まで知らなかったダーヴィンにしてみれば、もしも今日のような事があった時にルシアの存在を知る誰かがいてはマズイと思ったのだ。
相手がサーシャだったからよかったようなものの、もしも薄情な誰かであったら、ルシアがこの家にいる事を話してしまうかもしれない。
「この街で知り合ったのはサーシャだけよ?家から一歩も出てないし、それに留守番をしている時に訪問者が一人もいなかったわ」
大きな街ではあるが、駅周辺から離れるとこうも人通りが少ないのかとルシアは驚いた様子でそう言った。
「お兄ちゃんは友達がいないんじゃないかって心配するぐらいよ」
「ははっ、そんな心配をしてもらえるとは光栄だな」
ダーヴィンはルシアが他の人間と交流していない事に胸を撫で下ろした。
ルシアの素性がバレてしまうのは得策ではない。
今後どのような計画を立てるにしても、自分と兄弟である事すら王族の人間に…いや、完璧を求めるのならば誰にも知られてはいけないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!