14人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日の早朝
またもやけたたましく玄関をノックする音が聞こえた。
「ダーヴィン!いないのかい!?」
サーシャである。
いつもこの時間は朝食の準備をしているからいないはずはないのだ。
「サーシャ!」
ルシアは鍵を開けてサーシャを家の中へと引きずり込んだ。
「おはようルシア!」
見るとサーシャは全身がびしょ濡れである。
昨夜から降り続いている横殴りの豪雨がサーシャの体を濡らしたようだ。
「大変…そんなに雨風がひどいのね」
慌ててタオルを取りにいくルシアの後ろ姿を見送って、ダーヴィンは呆れたように声を掛ける。
「たった数秒でこんなに濡れるんですね、今日は商売もできないでしょう」
窓に叩き付けられた雨がバチバチと音を立てている。
「本当に凄い雨だ、まるで国王の死を悲しんでいるようだね」
サーシャは窓の外を見てポツリと呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!