第一章「始まり」

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 ブロローグ  あの日、俺は助けることが出来なかった。あいつを。  雨の中、俺は必死に走っていた。ある組織から女の子を助けるために。    『きゃぁっ!』  『××××××!』  女の子は雨で濡れているアスファルトの地面に転び、後ろからは黒いスーツを着ている男たちが追ってきた。  『え、炎真………。もうダメだよ………』  『バカ! なに弱音吐いてんだ! お前は俺が助けるって言っただろ!』  女の子の手を取って無理やり女の子を抱き上げる。約束したんだ。絶対助けるって!  『でも、ダメなの………。こうやって何度も何度も追いかけられて、私は殺されるんだ………』  『は? 何を言って――――――――』  その時だった。  パァンという、乾いた発砲音が聞こえて俺の体はぐらりと傾いた。  『え…………(ドサッ)』  倒れたと同時に女の子は追ってきた男に腕を捕まれ、拘束されてしまった。  『炎真!』  激しく抵抗するも、女の子の力では大の男の腕を振りほどくことは無理だろう。  そこで俺は意識を失った。最後に目に映ったのは悲しみと諦めの眼をしている女の子だった。  その後、俺は病院へ運ばれ、あいつを助けることができなかった。そして、あいつの姿を見ることはなかった。  その時からだ。この夢を見るようになったのは。  『炎真、分かってたよ。炎真も私のことは助けられないって』  『ま、待ってくれ!お前に言いたいことが……!』  『さよなら。炎真』
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