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その数週間後、彼女をテレビで見かけるようになった。
彼女の歌唱力と演技力。そして何より、整った容姿。
彼女の人気は衰えをしらず、どんどん売れていったのだ。
もっと、更に、遠い存在になってしまった……。
そんな彼女は、たまに顔を出してくれて、俺の仲間とも仲良くなっていた。
けど、やっぱり忙しいのか、顔を出しに来てくれる回数は減り、今では全然会っていない。
俺は学校に行く時間になったので、テレビの電源を切った。
「行ってきます」
そう言って、家を出た。
「幸村おはよう。今日も元気か?」
しばらく歩いていると、後ろから声をかけられた。
「おはよう、真田。俺はいつも元気だよ」
声をかけてきたのは、同じテニス部に所属している真田だった。
真田は黒いキャップを被っており、テニスバックを肩にかけている。
ようやく学校に着き、朝練をし、それぞれのクラスへと別れた。
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