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確かにクラスの子が言ったように、城山さんは細い脚にすらっとした体型で、顔も整っていると思う。
ただ、赤色の眼鏡のせいで大人しそうに見えてしまうだろう。
「えー、普通なわけないよ!!見て、私の脚!!太くてやんなっちゃう」
泣きそうな顔で言ったクラスメートに、城山さんは、首を傾げて口を開いた。
「そう?そんなに太いとは思わないけど……。そうだ、後で脚がむくみにくくなるストレッチ、教えようか?」
どうする?と言った顔でクラスメート見ると、次の瞬間クラスメートは、城山さんの手を両手で握った。
「是非!!是非、お願いします!!!!」
「ふふっ、わかった。じゃぁ、紙に分かりやすく描いて渡すね」
「ありがとう、城山さん!!」
いいえ、と言ってふんわり笑った。
何だろう……。今の笑顔、すごく懐かしい感じがした。
城山さんは、みゆじゃないのに……。
俺はそんなモヤモヤした気持ちのまま、授業に臨んだ。
「教科書の、98ページ5行目を……」
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