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今夜行くのは止めようと思っていた。
でも顔を見るだけ、それだけだと思い直してチャイムを鳴らした。
まだ濡れた髪の澪は、それだけで俺の心を甘く揺らす。
コーヒーを飲んだら帰ろう。と思い直して澪の横顔を見つめた。
片岡の話を持ち出したのは自分なのに、なぜかむきになって弁解する澪に動揺した。
しかも、自分は嫌われてる、と澪は言う。
こんな誤解を解いてやる必要はない。
それにもう聞きたくない。
ほら、まただ。
駄目だと思っているのに、こうしていとも簡単に俺は、澪に手を伸ばしてしまう。
今夜は駄目だ。俺は普通じゃない。嫉妬でかなりおかしくなってる。
今夜は・・・・駄目だ・・・・。
澪・・・・・お前を壊してしまいそうだ。
でも、このやり場のない不安だけは解消させてくれるか・・・・?
「澪・・・・お前は俺のものだ」
こうして言葉にして確認して、お前が愛らしく頷くのを見て、やっと安心してる。
こんな情けない男を許してくれ・・・・・澪。
ああ、駄目だ。やっぱり抱き締めた腕は弛めることができない。
奪う、と言っていいほど荒々しく唇を重ねた。誰にも渡さない。いや、渡したくない。
澪の唇は甘い。とろけていく程甘い。俺はどこまで堕ちていけるのだろう。
膝から崩れ落ちようとする澪を抱き上げて、囁いた。
「澪・・・・・愛してる」
どうしよう・・・・・・・もう、どうしようもないほど、お前が・・・・好きだ・・・・・。
**********
<澪目線>
気だるさの中で目が覚めた。
雨の音が聞こえる。
腕を伸ばして時計を手に取ると、脇腹のあたりに軽く、痛みが走った。
3:25
帰ったんだ、亮太。
それはそうだ。もともと約束してた訳じゃなかったんだし。
泊まってくれるわけ・・・・ないし。
冷蔵庫からミネラルウォーターを出してきてひと口飲んだ。
身体中のあちこちが、なんとなく痛い。筋肉痛みたいだ。
ふと思いついて、着ていたTシャツをめくってみた。 暗闇に慣れた目が、姿見に写る胸にいくつかの痣を見つけた。
よく見ると、腕にもある。この分だと、脚や背中も危ないかも・・・・。
まあ、服で隠れるところ・・・・という程度には気を使ってくれているらしい。
自分の所有物だぞっていうしるし・・・・かな。
雨の音を聞きながらぼんやり考えていた。
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