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慌てて車から降りる男。
蹴られた場所を手でさすりながら泣きそうな声を出す。
「ありえねぇ…
ミヤ、蹴ることないだろ…。
買ったばっかだぞ。
ひでぇよ。」
意地悪そうに笑うミヤ。
「蹴られんの嫌なら軽にでも乗ってればいいじゃん。」
この男はミヤの大学の同級生。
芳村 守(ヨシムラ マモル)19歳。
よく一緒に飲みに行く仲間だ。
毛皮屋の次男坊で
歳の離れた長男はヤクザになってしまったらしい。
守も最近はヤクザまがいの事をして金を稼いでいた。
守は大切な友達だがその仕事は気にくわなかった。
いつか捕まるかもしれない。
仲間がそうなると思うと…辛かった。
「せっかく部屋まで送ってやろうと思ったのに…。」
不満そうに顔を上げた守。
目の前に立っていたはずのミヤがいない。
「早く車出して。」
既にミヤは助手席に座っていた。
「ったく。何だょ。」
守はブツブツ文句を言いながら運転席に乗り込んだ。
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