第2章

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慌てて車から降りる男。 蹴られた場所を手でさすりながら泣きそうな声を出す。 「ありえねぇ… ミヤ、蹴ることないだろ…。 買ったばっかだぞ。   ひでぇよ。」 意地悪そうに笑うミヤ。 「蹴られんの嫌なら軽にでも乗ってればいいじゃん。」 この男はミヤの大学の同級生。 芳村 守(ヨシムラ マモル)19歳。 よく一緒に飲みに行く仲間だ。 毛皮屋の次男坊で 歳の離れた長男はヤクザになってしまったらしい。 守も最近はヤクザまがいの事をして金を稼いでいた。 守は大切な友達だがその仕事は気にくわなかった。 いつか捕まるかもしれない。 仲間がそうなると思うと…辛かった。 「せっかく部屋まで送ってやろうと思ったのに…。」 不満そうに顔を上げた守。 目の前に立っていたはずのミヤがいない。 「早く車出して。」 既にミヤは助手席に座っていた。 「ったく。何だょ。」 守はブツブツ文句を言いながら運転席に乗り込んだ。
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