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左の運転席のドアが開き男が降りてくる。
30歳位だろうか…
「ミヤさんですか?
お迎えに… あの…。」
と言いかけ男はミヤの腕を掴むカズを見た。
焦ってミヤはカズの手を振り払う。
「あっ、アタシがミヤです。
わざわざスミマセン。
カズさん、アタシ行くょ。」
ミヤは愛想笑いをして車の後部座席のドアに向かう。
「あの…いいんですか?」
都合の悪そうな男がドアを開けながらミヤに聞く。
「あぁ、平気です。
見送りに来てくれただけなんで。」
そう言うと車に乗り込むミヤ。
もちろん理絵達やカズが心配してくれているのは分かっている。
しかし…内心仁に会えると思うと胸が高鳴る自分がいた。
機嫌よく鼻歌交じりでバッグからファンデーションを取り出し
ミヤは化粧直しをし始める。
グロスを唇に塗ろうとしたその時、
車の外で話しをするカズと運転手の男が目に入ってきた。
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