0人が本棚に入れています
本棚に追加
1人店の入っているビルを後にするミヤ。
数時間もすれば夜が明ける外気はミヤの体を小さく震わせた。
『寒っ。
あぁあ… なんか理絵、怒ってたなぁ。』
ミヤはコートの前を両手で閉め直した。
道を行き交う暇そうなタクシーを目で追いながら浮かぶさっきの理絵の顔。
新太郎と理絵が何度も行くなと止めたにも関わらず
“平気だから”と半ば強引に店を出てきてしまったミヤ。
『帰ったら理絵に電話して謝ろっかな…』
「はぁー。」
溜め息を吐くと自分の息が白くなるのに気付いた。
その時…
「ミヤ!」
突然、後ろからミヤを呼び止める声がする。
振り返ると、眉間にシワを寄せ不機嫌そうにこちらに近づいてくるカズがいた。
「お前、1人で何しに行く訳?」
『何で、カズさんが怒ってんのよ…。
わぁ…面倒くさい。』
カズの機嫌を取るかのようにミヤは笑ってごまかすしかなかった。
「ただのアフターだって…ば。」
最初のコメントを投稿しよう!