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仁の女になってから数週間。
仁は毎日、時間があると電話をしてきてくれた。
「ミヤに会いたいなぁ。
早くお前を抱きたいよ。」
朝間っから何を言い出すのかと思えば…
「もうっ。恥ずかしいからそんな事言わないで下さい。
誰か近くにいるんでしょっ。」
電話越しに会話を冷やかす声が聞こえる。
「誰かいようがいまいが関係ないだろ。
俺はミヤを愛しているんだ。」
20歳も離れた大人の男に自信満々に愛してるなどと言われるとさすがに照れ
「同じ言葉、総長さんの前でも言えますか?」
と、つい意地悪っぽく返してしまうミヤ。
「そう言う言い方はないだろ。」
仁は困った様な声を出した。
総長とは仁の一家のトップにいる人物。
以前、総長がミヤの街に飲みに来た際、総理大臣並みのSP…いや、ヤクザが大勢道路側に高級車を停め、街は異様な雰囲気だった。
仁はその総長の下に普段いるのだ。
そう考えるとミヤとは別世界の遠い存在に思えるが
日々、仁のたわいもない電話や左手首にしている仁から貰った虎の目が
ミヤの気持ちを寂しさから守ってくれていた。
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