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目が覚めた。体を起こし周りを見る。
「知らない森か。体は……そのまま生まれなおしてない。貴族生活がパー か。」
とりあえず近くにあった小屋の中へ。少なくとも盗賊の拠点じゃないだろ、多分。いわゆるマタギが使ってそうな感じだし、マタギなんて見たことないけど。
「ん、布団は……ないか。水もない。あるのは紙だけ。読めるか?」
不自然に置いてあった机の上には、これまた不自然な紙があった。
「……食べ物探してくるか。」
読まずに外に出る。寝床はここでもいいけど水とかは欲しい。
そして扉を閉めようと足蹴したとき。
『ちょっと待ってよ! 予想外すぎるでしょ!』
お子 様とやらの声が聞こえてきた。
「自分疲れてんだな。早く食べ物食べて寝よう。」
『お願いだから転生者のテンプレ行動ぐらいしてください。目の前に小屋があって怪しい紙があったら読むでしょ! あとお子様を分ければ偉い人みたいになると思ったら大間違いだよ!』
何か耳に残るフレーズを言いながらわめき散らすオコ『オコだよ、激オコだよ! 間違ってないけど間違ってるよ!』
……何かは知らないがご不満らしい。
「少なくとも赤の他人が残したかもしれない紙を拾う気はない。もしかしたら読んで欲しくないことが書いてあるかもしれないから。」
もしも秘密の日記だったらどうする。
『何その気遣い! 僕にはないのかい君! その優しさを、気遣いを少しは僕に頂戴よ!』
「あるかはわからないけど菓子の類い手に入れたらそれをあげる。」
チョコレートとか好きみたいだしそれでいいかな?
『え、それなら…… だからもういいよ! そもそもどうやって手に入れるのさ! 君はお金どころか安全すら手に入れてないだろ!』
金…… 靴売れるか? 安全…… 集落探すか。
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