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一瞬だけ固まったようにこっちを見た相川、きゅうにうつむいて泣き出したんだ。
え、な、なんで?
こんくらいの冗談、いっつも言ってたじゃん!
そんで、相川いっつもウケてたじゃん!
今のだって
『うわ、ひどっ』
とか言いつつ、バカ笑いするとこじゃないの?
「そ……そう、だよ……ね…………わたし、バカだから……」
スンスン、スンスン、ちょっと待ってよ、相川だって、冗談――――
バカでウケねらいな嘘だって分かってるから、いつも笑ってたんでしょ?
それなのに何で泣くんだよ!?
「あ、いや……」
ちょっと、これどうしたら良い?
うわ、あたまに変な汗出てきた。
「べ、別に相川がバカってことじゃなくて、えっと……なんていうか、教科書見るのがバカっていうか、そ、その……問5は中尊寺だから、はい、よし、これで全部埋まったじゃん!」
ダメだ、自分でも何いってんのかわかんないし。
――――気づいたらおれ、教室飛び出してた。
途中、センセーに鉢合わせしたけど、ダッシュで逃げた。
かんいっぱつだと思った。
だって、あんな状況見つかったら絶対怒られる。
『友達泣かすな』
って。
センセー、そういうのはめちゃくちゃ怒るから。
おれが泣かしたみたい……いや、おれが泣かしたんだけど、そんなつもり無かったし。
とにかく、急いで部室に行こうと思った。
部活に混じっちゃえば、とりあえず今日は説教されずに済むから。
部活して、帰って、明日の朝なら相川泣き止んでるだろうし、明日謝れば良いよね?
そんで、相川に説教軽くなるように言ってもらおう。
いや、だってセンセー怒るとヤバいから。
だからおれ、バット振りながらも、明日どうやって謝ろうかずっと考えてた。
そしたらさ――――
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