38人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ、好きな奴からかって気を引きたいのはわかるけど、泣かせたら意味ねーだろ。小学生かよ、全く」
腰に手を当てて、大きく息を吐き出すセンセー。
今なにを言ってくれた?
「相川もなあ、この年頃の男子ってやつは、とかく素直じゃねーんだよ。だから、こいつの話は裏を読んで聞いてりゃ良いの」
センセーはチラッと相川を振り返り、おれの肩をポンと叩いた。
そして、
「いい加減素直になっとけ?心のまま自由に動けるの、今だけだかんなー」
なんて更に二回肩を叩いて、そのままさっさと校舎に戻って行った。
…………。
うわ、どうしよう相川こっち見てるし。
えっと――――
「ま、まあ、そういう事なんだけど……」
なんかハズイからずっと隠してたけど、やっぱりセンセー侮れないね。
相川はバカ……いや、鈍感、いやいや、おっとりしてる、そう、おっとりしてるから気付いてないみたいだったけどさ。
てか、好きじゃなきゃ、わざわざつるんだりしないよ。
ただでさえ、ちょっと女子と喋っただけで冷やかされんだもん。
その冷やかし、がまんしてでも話したいから声かけてるんだし。
でもさ、
「夏休み明けてからの相川は、ちょっと分かんないんだよね」
「…………」
「話しかけてもうわのそらだし、ノリも悪いし」
「…………」
「さっきだって、いつもあんなこと言ったって平気なのに泣くし」
あー、ヤバい。
何か相川また泣きそうになってるし。
でも、ごめん。
止まんない――――
「なんでセンセーなんだよ!」
最初のコメントを投稿しよう!