第五話 現の残火

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「まあ、好きな奴からかって気を引きたいのはわかるけど、泣かせたら意味ねーだろ。小学生かよ、全く」 腰に手を当てて、大きく息を吐き出すセンセー。 今なにを言ってくれた? 「相川もなあ、この年頃の男子ってやつは、とかく素直じゃねーんだよ。だから、こいつの話は裏を読んで聞いてりゃ良いの」 センセーはチラッと相川を振り返り、おれの肩をポンと叩いた。 そして、 「いい加減素直になっとけ?心のまま自由に動けるの、今だけだかんなー」 なんて更に二回肩を叩いて、そのままさっさと校舎に戻って行った。 …………。 うわ、どうしよう相川こっち見てるし。 えっと―――― 「ま、まあ、そういう事なんだけど……」 なんかハズイからずっと隠してたけど、やっぱりセンセー侮れないね。 相川はバカ……いや、鈍感、いやいや、おっとりしてる、そう、おっとりしてるから気付いてないみたいだったけどさ。 てか、好きじゃなきゃ、わざわざつるんだりしないよ。 ただでさえ、ちょっと女子と喋っただけで冷やかされんだもん。 その冷やかし、がまんしてでも話したいから声かけてるんだし。 でもさ、 「夏休み明けてからの相川は、ちょっと分かんないんだよね」 「…………」 「話しかけてもうわのそらだし、ノリも悪いし」 「…………」 「さっきだって、いつもあんなこと言ったって平気なのに泣くし」 あー、ヤバい。 何か相川また泣きそうになってるし。 でも、ごめん。 止まんない―――― 「なんでセンセーなんだよ!」
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