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「相川、これ」
おれの手元を見て、相川が首を傾げた。
口を聞いてもらえなくなってから1ヶ月。
けっきょくその間もずっとうわのそらで、センセーばっか見てる相川に無性に腹が立ってイラつくわけ。
「入江くんのせい」とかキレられて、口も聞いてもらえないおれはなんなの?
ただ、それをそのままぶつけたら進歩がないから黙ってるんだけど。
…………。
って、今こっちを見上げてるのって相川だよね?
こいつ、こんなに睫毛長かったっけ?というか、その、さ。
「ノートがどうかしたの?」
「あ、いや……テストの点数上げたいみたいだから」
「…………」
「ほら、出そうなとこ、マーカー引いてあるから」
なかなか手を出そうとしない相川。
「いいから、これ」
おれは相川の机に、バンッとノートを置いて席に戻った。
あーもう、何でこんなに動揺してんだよおれ。
チラッと見た相川の背中。
相川が相川に見えなかったというか、相川がきれいに見えたとかマジでおかしい。
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