第五話 現の残火

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最初は髪型変わったからだって思ってたけど、なんかそうじゃない。 そんなパーツの話じゃなくて、もっとこう、全体的にきらきら、いや何かふわふわ? とにかく相川見てると、腹から何かがわき上がってくるみたいな、よくわかんない衝動にかられる。 というか、髪型以外別に変わっていないと言えば、変わって……いや、少し痩せたような気はする。 だって、今目の前に立ってる相川の手首、髪の毛ゴムがゆるいし。 前は、もう少しピッタリフィットしてた。 てか、何で? さっき俺が置いたノート、無言で差し出してるんだけど、一体なんなの? テスト、赤点になりたくないんじゃないの? 赤点かいひして、センセーに迷惑かけないんじゃないの? だから、おれ、相川の手元からスッと視線を上げたんだ。 「何?」 「……らない」 「は?」 「こんなのいらない。入江くんの助けなんか無くても一人で出来るから」 スッとノートを置いた相川。 …………。 何あれ、あいつあんなに背筋伸ばした歩き方して――――なんか、 おれだけ置いてかれた気分。
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