第五話 現の残火

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だからね、相川がテストの点数上がったのは、相川の実力だよ。 おれのノート、十秒で返却だしね。 ただ、でもなんか悔しいから、一度だけセンセーに嘘ついた。 何だかんだで、相川の原動力はセンセーなんだって思ったら、やっぱりくやしいじゃん? だから期末テスト終わったあと、センセーに呼び止められて、 「最近、相川の調子良いの、やっぱお前が勉強見てんの?」 なんて聞かれたから、 「まあね。知はもともと、やればできる子だし」 って……名前呼びとか本気ではずいけど、わざとそんな風にかっこつけてみた。 そしたらセンセー、「ふーん」て一言漏らしてフっと笑うから、おれ、 「何、センセー、ヤキモチ?ダメだよ?おれ達、毎日一緒に帰るくらいラブラブだから」 って付け足したんだ。 だって、笑ったセンセーの顔が、なんだか――――
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