第五話 現の残火

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でもやっぱり何かおかしい。 そう思ったのは、相川が居残り勉強の予定を書き込んでる時だった。 というか、センセー ――要領の良いやつが良い点をとる。 宿題自体は、自分でやろうが、人のを写そうが、テストをクリアしてくれりゃ問題ない。 ただ、まあ自分でやった方が「忍耐力」と「根性」は付くわけで、それは将来大人になったら役に立つかもしれませんよ? って言うけど、おれ、忍耐力とか根性とかあつくるしいのいらないから。 「宿題だすの前提とか意味わかんないんだけど。まあしょうがないよねー。相川いつにするの?」 って。 毎回いっしょにうけてるからね。 だからいつもの問い掛けを投げた。 それなのに相川ときたら黙りで、 「…………」 あれ、聞こえてないの? シャープ握ったまま、ボケッと突っ立ってる相川は、ピクリとも反応しない。 …………。 「相川?」 「…………」 「あいかわ!」 無視とかされると腹立つよね。 だから、後ろからセーラー服のえりを掴んでグイッと引っ張ってみた。 膝カックンか、ちょっと迷ったけど、どうでもいっか、それは。 で、いつもならそんな事したらさすがに怒ってくるから、おれ身構えた。 それなのにさ、やっぱりおかしいんだ。
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