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「……劉ちゃん。いつからそこに居たの?」
エリンは倒壊した家の屋根をジト目で睨みながら呟いた。
「んー?エリンちゃんが逃げ回ってる途中からッス。」
「はよ助けてよ!」
「いやいや、小生、姿を見えなくするしか能力無いんで。細かく調整して攻撃できな…どわぁ!?」
落ちた。
「痛た…まぁ袋小路に来てもらったら細かく調整しなくてもとりあえず浄化できるッスから。」
腰を強打したのか、座り込んだまま話を続ける神父―天羽劉尊。
口調、得物、能力。どれを見ても『神父』には見えない神父職の少年。
〈ギャイイイ!〉
悠長に話す間にも集まったゴブリンを福音や祝詞で浄化していく。
「あらかた片付いたッス。」
「助けてくれてありがとう。」
「いえいえ。それよりまだ終わってないッスよ?」
「え?…あ。」
周囲のゴブリンの群れが掃討された事に安堵したエリンだったが、劉尊の発言で瞬時に臨戦態勢をとった。
〈ゴゴ、ギィギュアアアア!!〉
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