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それから一週間はあっという間に過ぎた。
感傷に浸る間も無く、お通夜だ告別式だと辺りは目まぐるしく回り、気が付けばもう明日から仕事に復帰しなくてはいけなくなっていたその夜、家のチャイムが鳴った。
インターホンのカメラが一人の男性を映し出し、私は一人首を傾げた。
見た事のない人だった。
「あの、お母さんにお花を」
男はそう言うと、持って来た菊の花をインターホンのカメラに映るよう挙げて見せた。
「あ、はい。少々お待ち下さい」
私はそう言うと玄関まで走り、扉を開けた。
母が亡くなってここ数日は、こういった来客も珍しくない。
なので私は、私の知らない母の知人だろうと言う認識で割と簡単に男を招き入れたのだった。
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