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男は新堂彼方(シンドウ カナタ)と名乗った。
城北大の研究室で助手をしているエリートさんらしかった。
「僕の名前は、君のお父さんが付けてくれました。いわゆる名付け親ってやつです」
私は彼の話を作り笑顔のまま聞いていた。
父の話を他人から聞くなんて経験は初めてだったし、実際どんな顔をして聞いたらいいのか全く検討もつかなかった。
そんな彼の話は、突拍子もなかった。
彼は私をタイムトラベラーだと言った。
でも私は、この時代に生まれ、この時代で育ち、今、此処にいる。
何処からも来ていないし、何処へも行った記憶はない。
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