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「すいません。帰って頂けますか」
どうか、私が穏やかに話せているうちに。
少し赤くなった目を押さえ、節目がちにそうお願いする。
すると流石の彼も何かを感じとったのか、
「分かりました。ではまた改めてお願いに伺います」
と言い、名刺と何かの資料らしきものを置いて帰って行った。
彼を見送りドアに鍵を掛けた途端、ドッと涙が溢れその場にしゃがみ込んでしまった。
母が私に父の事を多く語らなかった理由は、その辺りにあったのかも知れない。
その後の事はあまり覚えていない。
気が付くと私は、カーテンから漏れる光に照らされ朝を迎えていた。

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