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アヤはベットの上で父の手紙を読みながら、ため息をついた。
「今年のクリスマスはひとり…か。」ぼそっ
一人で過ごすクリスマスは初めてだ。
父の手紙には、今年のクリスマスは帰れそうにない、ごめんな。と泣く泣く書いたであろうものだった。
こんなイベントどうでもいいと思ってはいるが、周りが騒ぐと、どうしても意識させられる。
大切な人…
そういえばイレヴン先輩は誰と過ごすのかな?
友達、それともあの三つ子くん達とホームパーティーでもするのかな?
どちらにしろ、ひとりで過ごすのとは無縁そうな人だな。
彼を思うと、自然と口元が緩んだ。
彼の周りはいつも賑やかで、楽しそうであった。
男も女も関係なく、彼には人を引き寄せる、魅了する何かがあると思う。
私が出会った最初の頃は、ハーレム目指しているのかな?
と疑いたくなるほど、彼の周りには常に女性の影があった。
確かその時の口癖が、「彼女欲しい!」であった気もするが、
ある時期を境にぱったりと大人しくなり、男友達と一緒にいることが多くなった。
なぜだろう。
そしていつの間にか、イレヴン先輩が隣にいることに違和感が無くなるほど
最近は私と一緒に居ることが多くなった。
私の一方的な思い違いかも知れないが、隣に居て当たり前だと、そう思える関係が嬉しい。
楽しいとか、嬉しいとか、そんな感情を伝えることが中々できない私だけど、
いつも彼は笑って、そばにいてくれた。
彼の体温を感じると、幸せな気持ちになれた。
もう彼女は欲しくないのかな。
私のことは、どう思っているのかな。
友達?後輩?私は一体、先輩の何なのだろう。
ここまで家族以外の誰かのことを強く想うのは初めてで、正直自分自身に戸惑っている。
「・・・・・。」
アヤは考えるのを止め、きつく目を閉じると、眠りについた。
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