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「それより、咲も2人を捜しに来たんだよね?」 光太郎先輩が、顔を覗いて聞いてきた。 そんな動作に、またもやドキッとしたが、今は質問に答えるのが優先だ。 「はい。先輩もですか?」 「うん。ちょっと、気になってね。」 やっぱり、後輩のことになると鋭い。 そんな考えがよぎったが、すぐに違うと判断した。 違う。先輩は、後輩だけじゃなくて、周りの人のことをよく見ていて、気になることがあると、助けようとする。 「先輩、2人の話、聞いてもらってもいいですか?」 そんな先輩なら、もしかしたらあの2人を助けてくれるかもしれない。 「いいよ、聞かせて。」 私は、先輩の承諾を得てぽつりぽつり話し始めた。 「あれは、中学2年生でした。」 その頃、私達は3人でずっとサッカーをしていた。 たまに、お兄ちゃんも入って最高の中学校生活を満喫していると思っていた。 その時は。 「ある日、部活でちょっとした試合があったんです。」 その相手校は、初めて試合をする学校で私も色々調べた。 どんなプレーをするのか、どんなフォーメーションでくるのか。 そして、1つの噂を見つけた。 「それは、ラフプレーをするという噂でした。」 だから、2人に気をつけるように言った。 そして、2人もそれに頷いた。 「けど、ホントは違ったんです・・・」 「違った?」 「はい。相手校は、ラフプレーをするんじゃなくて、させるんです。」
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