8/12
前へ
/35ページ
次へ
「それで・・・私が、どういう意味かって聞いたんです・・」 そして、私は1度だけ深呼吸して言葉を続けた。 「・・・海斗は、こう答えました。」 ・・・・・・どういう意味かって?そんなの分かり切ったことじゃん。 「俺とお前じゃ、根本的に全てが違う。だからお前が俺に同情すると、腹が立つ。お前に感謝なんて、今まで一回もない。・・・って」 私は、ずっと胸に引っかかっていたモノが、すっと取れた気がした。 人に話して、安心したんだろうか? いや・・・多分、光太郎先輩だから安心できるし、信用できるんだ。 「そのまま、それっきりで・・・」 「そっか・・・」 光太郎先輩は、ふわりと笑って私の方を向いた。 「咲は、その事がずっと気になってたんだよな?」 そう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。 そして、 「咲・・・今までよく頑張ったな。」 その言葉で、一気に涙腺が崩壊した。 ずっと・・・ずっと気になっていた。 彼方と海斗が、どうしてこんな事になってしまったのか。 なぜ、近くにいたのに気づいてあげられなかったのか。 私は、自分を責め続けた。 けど今、光太郎先輩は頑張ったなって言ってくれた。 そんな単純で分かりやすい言葉だけど、ストンと私の心に落ちてきた。 それで、私は1人じゃないんだなって思った。 どのくらい時間が経ったか分からないけど、泣き止むまで、ずっと傍で頭を撫でてくれていた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加