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「そっか・・・」 よかった・・・そう思ったけど、1つ疑問が残った。 「あ!海斗!・・・彼方とは、仲直りした?」 私は、おずおずとそう聞いた。 聞いてもよかったかな、と後から後悔の念が押し寄せた。 すると、海斗から衝撃的なセリフが返ってきた。 「え?俺らって、ケンカなんかしてたっけ?」 しばし、思考が停止した。 ん?どゆこと? 何年間も悩み続けたあの状況は、ケンカよりもっと根深かった気がするんだけど・・・ そう思ってたのは、私だけ? そんな疑問が、どんどん浮かんできた時、 「彼方、お前・・・気ぃ引くために嘘ついてたな。」 誰も口を開かなかったところで、今まで黙っていた先輩が呆れたように、彼方に言った。 「あ。そんなことも言ったような・・言ってないような・・」 彼方は光太郎先輩の話を聞いて、少しだけ焦りながら、私にそう呟いた。 「わり。あの後、すぐに海斗とは話をして、解決してたんだよ。」 え?そうなの? 「おいおい・・・彼方、昔からそういうとこあるよな・・・」 海斗も、呆れながら彼方を見た。 ってことは、私は解決していた何年も前のことを、1人でクヨクヨ悩んでいたってこと? ・・・!! 「・・・っ!彼方のバーーーーーーーーカ!!!!私の時間を返せ!!おっそいのよ、その報告!!ふざけんじゃないわよ!!」 言いだしたら、止まらなかった。 3年間分の不安と安心の波が、交互に押し寄せてきた。 「私がっ!どんな気持ちで、今日の試合見てたと思うの!?有り得なさすぎでしょ!?大体ねぇっ・・・」 「ストップ。」 そんな声が聞こえてきたと思ったら、止まらなくなっていた私の口に、封じの手がやってきた。 「そんなとこにしとこうか?咲?」 その持ち主はいつの間にか現れていた、和真先輩だった。
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