4人が本棚に入れています
本棚に追加
「試合を始めます。」
審判の人の合図により、コイントスが行われた。
どうやら、先行はこちらのようだ。
「では、試合開始!」
ホイッスルの音がフィールドに鳴り響いた瞬間、光太郎先輩が前方にボールを蹴り、彼方にパスした。
キックオフだ。
「彼方!とりあえず様子見ながら、慎重に進め!!」
光太郎先輩は、彼方にアドバイスしながら走り続ける。
「分かってます!」
彼方は、順調にドリブルをしている。
が、
「久しぶりだな、彼方。」
彼方のマークは、海斗だ。
なので、シュートを決めることは、かなり難しい。
「あぁ。お前と勝負する日が来るとは思わなかったよ。」
彼方と海斗は、ボールを取り合いながら会話をしている。
「そうだな。だが、俺はもう、昔のスタイルでサッカーはしていない。」
そう言った海斗は、次の瞬間、彼方が必死で守っていたボールを、奪い取った。
「何!?」
彼方は、驚いた様子で海斗を追いかける。
が、海斗のスピードに追いつくことができていない。
「くそっ!・・・なんでだよ!」
海斗は、こちらのディフェンスをあっさり抜くと、ゴールにシュートを放った。
そして、そのシュートは呆気なくゴールの中に収まった。
「海斗ッ!よくやった!」
「この調子でどんどん行けよ!!」
向こうのチームは、海斗がシュートを決めたことにより、モチベーションが上がったようだった。
だが、こちらは・・・
「・・・おい、どういうことだ?」
「アイツ、守りじゃなかったのか?!」
などと、不安と疑問が見え隠れしていた。
彼方も呆然としている。
「なんで?・・・」
ベンチにいる菜々も、困惑しているようだ。
けれど、私は不思議なほどに冷静だった。
確か・・・お兄ちゃんの試合でもこういうこと、あった。
最初のコメントを投稿しよう!