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そこに鬼編集長はいた。
二階の窓を突き破り、鮫にまたがる彼女はこう言い放った。
「さあ、仕事を始めるわよ!」
「仕事って?」
私が恐る恐る聞き返すと、彼女の眼鏡がきらりと光る。
「決まってるじゃない。小説の執筆よ!」
「・・・え?でも私、人様に見せられるものは何も・・・」
彼女は無表情だが、わずかに口角をピクリと上げ、冷酷に言う。
「ん?うちのベティに食われたいって?」
彼女がそう言うと、彼女が跨る鮫がぎらりと歯を見せつける。
私は震えあがり、思わず叫んだ。
「わわわ、分かりました!!書きます!書かせて頂きます!!」
私が机の引き出しからノートとシャープペンシルを取り出し、机に向かって黙々と書き始めると、彼女は満足げにニヤリと笑う。
「それで良いのよ」
こうして私と彼女の奇妙な編集生活が始まった―
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