嵐を呼ぶ女

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・・・で、昇平と別れて帰宅して二階に上ったら、こうなった。 こうなる前に昼食食べたり、海外にいる両親に電話かけたり、買い出し行ったり・・・ まあ、色々あったけど、 そんなこと一気に吹っ飛んでしまうくらい、目の前の出来事が衝撃的過ぎた。 まず何故鮫が人間と共に窓から突入出来たのかが分からない。 それに何故鮫の名前がベティなのか、何故私が小説を書かなければいけないか、この女の人は何者か・・・ など突っ込みどころは満載だが、椅子の後ろに控えるベティと女性は微動だにしない。 チラリと後ろを見たら、 黒くて鋭い目をしたベティがニヤリと笑うが如く 白くぎらつく歯を見せつける。 里桜は顔面蒼白になって書き進める。 第一話の終わりまで書き終わると、後ろにいるベティ・・・ではなく、女性に声をかける。 「あの・・・第一話書き終わりましたけど、今日はこの辺でお帰り下さいますか?」 「ベティ、餌の時間よ」 そう言われた里桜はノートを持ったまま、咄嗟に机の下に潜り込み、ガタガタと震え出す。 女性は楕円形の眼鏡のレンズの下の大きな瞳で不思議そうに見ながら、手を差し出す。
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