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12月23日
今この瞬間に、二酸化炭素排出量を抑える画期的な方法が発表されてすぐに実行された場合、実際に地球温暖化を食い止める効果が現れるまで何年、何十年の時間が必要なのだろうか。
……と考えてみたところで、専門知識を欠片も持ち合わせていない一般男子高校生に、その解を求めることはほぼ不可能だった。
だがそんなことを無作為に思考するほど、今の僕は暇を持て余しているのである。終業式、ホームルームを終え、誰もいなくなった教室の窓際で、だ。
「何をしていたのか?」と尋ねられたら「黄昏てましたぁー」としか答えようがないほど何もしていない。
どこからともなく出てきた小さなため息を吐き、先程からそうしていたように、窓の外を頬杖を突きながらただ眺める作業に戻る。
ちょうど去年の今頃ならば、校舎の三階から見える生まれ故郷の街並みは、幻想的なまでのスノーホワイトに染まっているはずなのだが、今年はクリスマスイブを明日に控えているというのにも関わらず、目に入るのは無機質な灰色、黒、そればかりだ。
雪国生まれ、雪国育ちの僕としては、その事実が少し寂しく感じる……と見せかけてその実、除雪作業の煩わしさや公共交通機関の遅れなどの心配がなくなり「ヒャッホォウ!!」といった気持ちが九割九分九厘を占めている。
「地球温暖化万歳!!」とは口が裂けても言えないが、この街限定で気温が上がるのは大歓迎だ。雪が降って喜ぶのは子供だけ、というのは恐らく豪雪地帯に住む人達の共通認識だろう。
ふと、先程まで同じ教室にいたクラスメイト数人が、楽しげに校門を潜り抜けていくのが見えた。
彼ら、彼女らはクラスで中心的なグループのメンバーで、きっと明日の「二年C組クリスマスパーティー☆」についてあれやこれやと盛り上がっているのだろう。
反転、僕の立ち位置といえば、クラスメイトのほとんどが出席するその集まりに誘われなかった事実から察して欲しい。
いや、別にいじめられてるとかそんなんじゃないんだけどね。ほら、どこの学校にもいるじゃん。周りから少し浮いてて、みんなから距離を置かれてる奴って。そんな一匹狼的なポジションを格好いいと思っていた時期が僕にもありました、はい。
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